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研究紹介>心理・行動コンセプト>環境認知>距離知覚

地下鉄駅における主観的な移動距離および深さに影響する環境要因
 
 

<日本建築学会計画系論文集 No.610,Pp.87-92,2006年12月> 大野隆造,小倉麻衣子,添田昌志,片山めぐみ

 近年、東京都心における地下鉄駅は新しい路線が建設される度に地下深くに位置するようになり、利用者の移動経路は従来にも増して長く、深くなってきている。従来から地下の閉鎖的な空間は、人々に閉塞感や不安感といったネガティブなイメージを抱かせる傾向があることが指摘されており、また、地下鉄利用客に対する調査 では、乗り換え駅の選択において移動経路の長さが考慮されていると報告されている。したがって、快適な地下空間を作るためには、移動の長さや地上からの深さをあまり感じさせないような経路のデザインについて検討する必要があると考えられる。
 本研究では、地下鉄駅において、移動の手段や経路の構成、空間のデザインなど、主観的な移動距離や深さの評定に影響を及ぼすと考えられる環境要因を明らかにすることを目的とする。

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歩行移動時の距離知覚に及ぼす経路の形状と周辺環境の影響

<日本建築学会計画系論文集 No.580,Pp.79-,2004年6月> 片山めぐみ,大野隆造,添田昌志

 本研究では、曲折角度およびT字路などの交差点の形状に注目し、これらと‘情報負荷’を与えると予想される「自動車交通量」および「経路幅」、「視覚情報量」の距離知覚に対する影響について、実際の街路における実験によって確かめた。また、確かめられた各要因の影響の程度について、主観的に等距離と判断される物理的距離の差によって定量的に求めた。
 結果として、「直角曲折」を含む経路と「経路幅」の狭い経路、「自動車交通量」の多い経路の距離が長く知覚されることが確かめられた。同時に、これらの要因は、各要因が単独に変化する経路においては多くの人に同様の影響を与えるが、要因同士が混在する経路においてはそれらのうちのどれが影響を及ぼすかは人によって異なることが明らかになった。距離知覚との関係が確かめられた以上の3要因の影響の程度について、直角曲折と交通量の増加を含む経路においては±8〜9%の距離差、交通量の減少する経路および経路幅の広がる経路においては±5%前後の距離差があった場合にいずれの要因も含まない経路と同等に感じられるという結果が得られた。

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 歩行動作と連動する視環境シミュレータを用いた距離知覚に関する研究
<日本建築学会計画系論文集 No.550, Pp.95-100,2001年12月> 大野隆造,片山めぐみ,小松崎敏紀,添田昌志
 本研究では歩行動作と連動する視環境シミュレータを開発し、 それによって経路を移動する際に知覚する空間構成要素とその歩行者の距離知覚 との関係を定量的に明らかにすることを目的とする。
 まず、開発した実験装置の 有効性を実験により検討した後、距離知覚に影響を及ぼす要因とされている視覚的 要因のうち、視空間容量の変化、経路両面の立面の視覚的煩雑さの2要因を取り上げ、 模型で経路空間を作ることによってそれらを操作し、距離判定を行った。
 その結果、 視覚的環境要因と知覚距離との関係を定量的に求めることにより、空間の広がりや空間の 煩雑さが知覚距離に影響していることが実験的に明らかになった。

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 通い慣れた屋外経路における歩行者の距離認知に関する研究
<日本建築学会計画系論文集 No.549, Pp.193-198,2001年 11月> 片山めぐみ,大野隆造
 本研究は、通い慣れた屋外経路における距離認知に影響する環境要因を明らかにすることを目的とし、 大学への通学路を対象としたアンケート調査を行った。
 結果として、坂は上りが長く、下りが短く認知されるが、 階段は上り下りどちらも長く認知される傾向があり、人・自転車の多いところは長く、商店や樹木の多いところは 短く認知される傾向があること、また、閉鎖的な空間を通ってきた場合、開放的なところは短く認知される傾向を 明らかにし、PCによって定量的に計測・記述した経路周辺の物理的要素との比較した結果、距離認知に影響する要因 として「エネルギー負荷」、「情報負荷」、「多様な情報」、「開放・閉鎖感」を示した。

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